遺言で法定相続分と異なる指定が可能
法定相続分よりも優先されるのが、遺言による相続です。
遺言とは、故人の生前における意思を表したものであり、それを書面にしたのが遺言書です。
遺言書に何を書くかはその人の自由ですが、一定の内容については法的効力を持ちます。
どんな内容が法的効力を持つかは民法で具体的に定められています。
@相続に関すること
A相続以外の財産処分に関すること
B身分に関すること
などです。
例えば、@の相続に関することとしては、法定相続分とは違う割合の相続分を指定できます。
妻と子ども1人が相続人の場合、法定相続分どおりだと相続分は2分の1ずつですが、「妻に3分の2、子に3分の1」という遺言を残せば、その割合になります。
また、「自宅は妻に、株式は長男に、現金は長女に」のように、だれに何を渡すかを具体的に指定することもできます。
Aの内容としては、お世話になった知人など相続人以外に財産を渡すことができます。
遺言によって相続人以外に財産を渡す場合は、相続ではなく遺贈といいます。
Bの内容としては、子どもの認知や、未成年後見人の指定などができます。
そもそも自分の財産をどう処分するかは、本人の自由であるはずで、遺産についてもそれは同じく、遺言によって故人の意思が表明されればその内容を尊重するのが原則です。
法定相続分よりも遺言による相続が優先されるのはこのためです。
しかし、遺言の内容に納得出来ない時には、相続人全員の合意があれば、遺産の分け方を変えることもできます。
逆にいえば、1人でも合意しないものがいれば、遺言が優先されます。
また、遺贈がある場合も、遺言は優先されます。
遺言でどのように指定するか
遺言で相続分を指定する場合は、@相続人全員の分を指定する方法と、A一部の相続人の分だけを指定する方法があります。
Aの場合、指定されなかった相続人については、残りの財産を。法定相続分を目安にして分けるのが基本となります。