世代を飛び越えて贈与ができる
孫のためであれ資金援助をおしまいないという人も多いのではないかと思いますが、相続税を節税する視点からも孫への贈与はお得です。
通常は、財産は親から子、子から孫へと順番に継承されますが、子どもへではなく先に孫に贈与をすると、相続の課税を1回免れることができるためです。
相続時に孫に遺贈することでも相続税の課税を1回免れることと同じ効果になりますが、遺贈の場合、孫は相続税の2割加算の対象となるため、その分、遺贈よりも生前贈与の方が得といえます。
そして、通常、相続人の相続開始前3年以内の贈与は相続税の対象になりますが、孫への贈与はその対象とはなりません。
ただし、孫が遺贈を受けた場合を除きます。
必要な時に負担する生活費や教育費はもともと非課税
孫の大学資金などを祖父母が負担するケースもよくあります。
実は、この場合は、必要な時にその都度贈与をしているのであれば、年間110万円を超えても贈与税はかかりません。
なぜなら、もともと扶養義務のある親子間や親族間における生活費や教育費の贈与は、贈与税の課税対象とならないからです。
扶養義務のある親族間には、遠方に住んでいる祖父母も含まれます。
つまり、遠くに住む祖父が孫の大学の入学金を支払う場合は、基礎控除額に関係なく非課税なのです。
ちなみに「扶養義務者」とは、次の者をいいます。
@配偶者
A直径血族および兄弟姉妹
B家庭裁判所の審判を受けて扶養義務者となった三親等内の親族
C三親等内の親族で、生計を一にする者
領収書などの証拠を残す
生活費も教育費も「通常必要と認められるもの」であれば非課税です。
上限額や、教育費・生活費の具体的な範囲は定められていませんが、たとえば大学に通うための下宿代や医学部などの高額な入学金・授業料は非課税になります。
ただし、下宿代や大学の授業料であっても、4年分まとめて渡すと贈与税の対象となります。
下宿代も大学の授業料も、その都度渡すことがポイントとなります。
また、必要な生活費や教育費に使ったことを証明するために、振込用紙や領収書を残しておくか、直接祖父母が大学などに振り込むようにしましょう。
贈与を受けた孫が、もらったお金で車を購入したり、貯蓄をしたり、目的と違う使い方をすると、その分は贈与税の対象となります。