遺産をめぐる争いは一般家庭でも起こる
相続における争いは資産家だけと思われている人も多いと思います。
しかし、相続財産の大小にかかわらず相続での問題は起こりえます。
そして仲のよい家族でさえ、いざ相続となった場合に争いに発展することもあります。
最もトラブルになりやすいのは、相続財産が被相続人の自宅だけで、相続人は複数人いるというケースです。
自宅を売却し、売却代金を法定相続分通りに分けられればよいのですが、実際は、配偶者や特定の相続人家族がその家に住んでいるケースもあり、簡単に売却をするということができないという状況もあります。
さらに、相続人の1人だけが多額の贈与を受けている、または、別の相続人が介護を一手に引き受けていたというような場合、話はさらにまとまりにくく、場合によっては法定で争うことも起こりえます。
こうした家族間の争いを避けるためには、事前に対策を講じておくことが大切です。
その手段のひとつが遺言です。
遺言で、各相続人の事情を考慮した遺産の分け方を指定することで、未然にトラブルを防ぐことができます。
必要に応じて税金対策も行なう
資産が多く、相続税を払う必要がありそうなら、相続税対策も必要でしょう。
相続税対策は、まず納税資金を捻出できるかを確認します。
相続税は、相続発生から10ヶ月以内に現金一括で納付することが原則です。
期限までに納めることが難しい場合には、生命保険などで納税資金を確保するなど、早めに検討をすることが必要です。
また、納税資金で困らないためには、相続税をいかに抑えるかも重要です。
具体的には、「小規模宅地等の特例」などの相続税の特例を活用したり、生前贈与をうまく利用して納税額を少なくできるように対策を講じます。
このように相続対策を大きく分けて、@遺産分割対策、A納税資金対策、B節税対策の3つがあります。
相続対策というとBの節税対策を思い浮かべる方が多いと思いますが、相続税を少なく抑えることだけではなく、遺された家族が争わないように遺産分割(争続対策)を最優先に考えたうえで、確実に納税できるように準備し、無理のない範囲で節税対策を行なうということをおすすめします。
特に「争続」になりやすいケース
- 主な相続財産が不動産だけ
- 被相続人に配偶者はいるが、子どもはいない
- 被相続人が2度以上結婚し、それぞれ子どもをもうけていた
- 特定の相続人が、被相続人から多額の贈与を受けていた
- 特定の相続人が、被相続人の介護を一手に引き受けていた